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8年前の5月27日

 忘れられない日がまたやってきて、過ぎ去っていった。 あの日夜中までどうしても原稿に手がつかず、翌日なんとか書いた原稿。 それがなかなか見つからず、さきほどようやく見つかった。当時のHP:2002CLUBより再録する。

 しかし、あの日先制ゴールを決め、決勝ゴールのアシストをした選手に8年後の同じ日、スポーツ仲裁裁判所(CAS)から、ドーピング違反はなくJリーグの処分は無効、という裁定が出たという。 なんだかとても不思議な気がする。

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“This is Football”。優勝目前、雨の長居に散った桜・・・

2000Jリーグ ディビジョン1 1stステージ第15節 セレッソ大阪vs.川崎フロンターレ

2000年5月27日(土) 長居スタジアム 観衆:43,193人
試合結果/セレッソ大阪1-2川崎フロンターレ(前0-0、後1-1、延前0-1)
得点経過/[川崎F]我那覇(49分)、[C大阪]西澤(60分)、[川崎F]浦田(106分)

取材・文/貞永晃二

  「このチームはまだ発展途上なのだから、仕方ない・・・」。無理にでもそう納得せざるを得なかったサポーターも多かったはずだ。Vゴールが突き刺さったゴール裏のピンクのサポーター達は、力尽きた選手たちに向け、セレッソコールを叫び続けている。

 優勝のかかった試合だった。しかし、試合前のスタジアムには緊張感があまり感じられなかった。C大阪のクラブ史上最多である4万3千もの大観衆が集った空間は、約2時間後のお祭りを思って弾む気持ちを隠せないファンのテンションに急かされているかのようだった。
 だが、そんな観客たちに神が与えた試練は、我那覇のクロスを左足ボレーでとらえた浦田のビューティフルゴールであった。

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 今井監督指揮下での初勝利を目指す川崎Fは、予想外に攻撃的に出てきた。プロである以上負けていい試合など存在しないのだ。2トップにベテラン森山と、沖縄出身の初スタメン我那覇。マジーニョにボールを預け、彼のキープ力を活かし、ペドリーニョが押し上げ、攻めを組み立てる。そして、中盤から厳しいチェックを忠実に遂行する。

 C大阪は横浜の試合結果に関わりなく、90分以内でもVゴールでも、とにかく勝てば初優勝。しかしプレッシング、チェイシングともに淡白で、簡単に川崎Fに攻め込まれてしまった。「こんなはずじゃない」という焦りからか、ミスも多発する。とにかくチグハグな感じのまま、ボールは川崎Fが6割方支配した。

 7分、我那覇がきれいなターンからシュートするが、GK下川ががっちりキャッチ。その後も、FK、CKと何度もチャンスが訪れるが、下位に低迷するチームらしく、ゴールを奪うに至らない。

 一方、全員が普段着で試合が出来ていないC大阪。しかし、20分を経過した頃から、徐々にペースをつかみ始めた。硬さがようやくほぐれた感じだ。25分西澤(明)のポストから、森島、田坂が飛び込む。しかし田坂がコントロールミス。

 27分、尹晶煥が西澤(明)とのワンツーから左足でシュート。ジャストミートしない。29分、盧廷潤の右クロスに西澤(明)ミートできず。一方川崎Fも左からの久野のカーブシュートがクロスバーのわずか上を通過する。スタジアムからはため息が漏れる。

 C大阪のビッグチャンスは34分。左サイド森島からのクロスを西澤(明)は胸で浮かせるようなトラップの後、DFをかわしシュートするがうまくミートせず、右ポストを外れる。意表を突いた川崎F我那覇のロングシュートは43分、クロスバーを叩く。C大阪の不完全燃焼の前半が終了する。

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 ナイター照明が点灯された49分、スタジアムが凍りつく瞬間だった。長橋からのクサビを受けた我那覇が、うまいターンからDFをかわしゴールへ向かう。右から鈴木がタックルに入ると同時に右足を振り抜いた。鈴木に当たったためか、フワリとGK下川を越えたボールはネットを揺する。川崎Fが先制した!

 先制点をなかなか獲れずに苦しんだC大阪を、我那覇の得点はさらに窮地に追い込む失点になるのか? 乗ってきた川崎Fは森山が右サイドから入りドリブルシュート。下川がCKに逃げる。そして右CKが全くノーマークで上がったDF西澤(淳)にドンピシャで合うがGK下川が救う。

 59分、C大阪・副島監督が動く。右SB興津に代えて巨漢上村を投入、3バックに変え、西澤(明)とのツインタワーで空中戦を仕掛ける。そしてこの采配がものの見事に的中する。

 60分、自陣から盧が上村の頭を狙ってロングボールを入れる。上村がヘッドで右コーナー方向へ落とす。走り込んだ森島が、中を見ながらクロスを上げる。マーカー奥野の陰にいた西澤(明)が飛んでくるボールにスッと近づき軽くジャンプしながら右足を振った。GK浦上はノーチャンスだった。C大阪1-1の同点に追いつく。何か叫びながら西澤(明)が歓喜の疾走をする。それに応えるスタジアムの大歓声。

 この後、C大阪に何度も逆転のチャンスが訪れる。西谷のドリブルシュートがクロスバーを越える。西澤(明)の独走からのシュートがポスト右に外れる。ここで逆転できなかったことが後で悔やまれることになった。

 同点に追いつくことに成功したメンバーチェンジではあったが、今までの試合よりは早い時間帯での上村投入で、空中戦という単調な攻撃にこだわり続けることになったのは、皮肉なことだった。やはり、いつもとは何かが違っていた。89分、副島監督は負傷した西澤(明)の動きの悪さから、本来はDFのペリクレスをトップに投入する奇策に出た。そして、延長戦に突入する。

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 いよいよ決着はVゴールで決まるのか。C大阪はなおも攻め続ける。上村の頭をターゲットに右から左からクロスが上がる。GK浦上も精一杯の飛び出しで防ぐ。DF西澤(淳)も不利な空中戦にも必死に競り合い上村に制空権を与えない。98分、左からの西谷のクロスはミスキックだったが、クロスバーを叩く。ほんの少しの幸運がC大阪にあれば、と思わせるシーンだ。そして、盧をFWに上げ、ペリクレスを左SBに、鈴木を右SBにと副島監督は指示を送り続ける。

 延長前半終了。あと15分。しかし、後半開始直後の106分、ピリオドが突然打たれた。浦田尚希。素晴らしいゴールだった。

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 この試合がどういう結末を迎えるのか、それは試合前からサポーターだって誰だって、選手たちだって様々に思いを巡らせていただろう。だが、現実に起こった結末を想像していた者がどのくらいいたであろうか。

 日本サッカーは以前、これと似た経験をしている。93年のカタール。対イラク戦、ロスタイムの同点劇。「ドーハの悲劇」だ。“This is Football”――サッカー狂国の人々の口からよく聞く言葉だが、C大阪サポーターはその意味を悟ったことだろう。

 この日スタジアムにいた皆が、1勝することの難しさを共有した。“This is Football”。この日の出来事こそがサッカーの神髄だからこそ、この経験を次に活かすことが重要だ。

 ただ、夢こぼれたその日ばかりは、サポーターも、報道陣さえも、C大阪の選手たちをいたずらに刺激することはなかった。

 選手たちはしばし、心と体の傷を癒し、自ら再奮起してJ1の2ndステージに臨んでくれるだろう。

(セレッソ大阪) 

GK:下川誠吾 

DF:蔵田茂樹、原田武男、鈴木悟、興津大三(59分/上村崇士) 

MF:田坂和昭、ユン・ジョンファン、森島寛晃、ノ・ジョンユン、西谷正也 

FW:西澤明訓(89分/ペリクレス)

(川崎フロンターレ)

GK:浦上壮史 

DF:奥野僚右、長橋康弘、久野智昭、西澤淳二 

MF:ペドリーニョ、マジーニョ(105分/中西哲生)、向島建(86分/浦田尚希)、大塚真司 

FW:森山泰行(61分/鈴木隆行)、我那覇和樹

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コメント

あれから8年か・・。あの瞬間、クロスをあげた我那覇。「蔵田~!寄せろ~!」と叫んだのを覚えている。水を打ったように静まり返るスタンドでアウェイゴール裏の川崎サポーター50人?の歓声が響いていたのが忘れられない。前節雨の三ツ沢での勝利が、あまりにも感動的だったので勢いでいける気配があった。が、心の奥には2ステージ制の短期決戦だからとの思いもあった。「長居の悲劇’05」とも共通点があった。共に最終節での決戦で前節の相手はマリノスだし、共に一日天下だ。
 色々因縁探せばでてくる。‘05悲劇の相手FC東京には‘01 一回目の降格の引導渡される。‘00悲劇の相手川崎Fには‘06二回目の降格の引導渡される。
 でもそんなことばっかり言ってられない今年は絶対昇格、来期はJ1で中位以上を目指す。香川のA代表定着。下部組織のスケールアップ&多くのトップ昇格。セレサポはもうマゾヒストになってはいけない!

投稿: M23星雲 | 2008年5月28日 (水) 11時14分

チームをサポートする人には、チームの過去を知った上で、その歴史や喜びも悲しみも一緒に背負って欲しいと思います。

投稿: スーハイ | 2008年5月28日 (水) 11時57分

下川いたんですね。原田、森山、懐かしい面々です。
我那覇の裁定、良かったです。
最近のJリ-グ、おかしい???

投稿: かぼす | 2008年5月28日 (水) 21時39分

>かぼすさん
現役選手は何人かいるけれど、両チームに残っているのはモリシとガナピーだけ。2人とも、試合に出て頑張れ!

投稿: スーハイ | 2008年5月29日 (木) 17時04分

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